九州の難関私立である西南学院大学。九州での知名度は抜群で、毎年多くの受験生が志望しています。
一方、関東には有名難関私立大学であるMARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)があります。どちら難関私立大学ですが、どういった違いがあるか知りたい方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、西南学院大学とMARCHについて、受験生が気になるポイントである偏差値、学費、就職率などを徹底比較していきます。
また、西南学院大学は「語学の西南学院」と呼ばれていることから、英語や国際関係に関心があって受験を検討している人も多いはずです。中盤では国際系の学部、留学プログラムや留学生の数についても取り上げていますので、受験を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
西南学大学とMARCH
まずは、それぞれの大学の大まかな特徴について解説します。
西南学院大学
福岡県福岡市早良区に本部がある私立大学。神学部、外国学部、商学部、経済学部、法学部、人間科学部、国際文化学部の文系学部のみを設置しています。
「語学の西南」とも呼ばれ、充実した語学教育を武器に、世界で活躍できる人材の育成を目指しています。また、キリスト教の教えを教育理念に掲げているミッション系の大学でもあります。
MARCH
学部学生数が約3万人おり、MARCHの中でもマンモス大学である明治大学。かつて「男臭い」と言われていた時代もありましたが、芸能人も多く卒業していることなども相まって、次第に女子学生の数も増え、世間の今と昔のイメージは大きく変わっています。
青山キャンパスが渋谷にあり、ミッション系大学でもあることから、洗練された印象が根付いている青山学院大学。(主に文系学部が青山キャンパス、理系学部が相模原キャンパス)入試では英語が難しいと言われています。
立教大学は、ミッション系の大学であることと、入試で英語が難しいとされている点では、青山学院大学と似ており、大学の雰囲気を「立教・青学」と一括りにイメージしている人も多くいます。ツタに覆われた赤レンガの校舎群の池袋キャンパスが特徴的です。
中央大学は、130年以上の歴史がある法学部が看板学部で、司法試験合格者の出身大学ランキングでは、例年東大・京大・早慶に次ぐ上位に位置しています。
駅伝、野球、アメフトなど、スポーツが強い法政大学。大学の名前の通り、元は法学教育を目指して設置された大学です。
偏差値の比較
各大学の学部ごとの偏差値を比較してみましょう。パスナビの偏差値を用いて、MARCHにある学部の中で「最も偏差値が高い学部」、「最も偏差値が低い学部」と西南大学を比較していきます。
西南学院大学の各学部の偏差値は、以下の通りとなっています。
- 神学部:50
- 外国語学部:50〜52.5
- 商学部:52.5
- 経済学部:52.5〜55.0、
- 法学部:52.5〜55.0
- 人間科学部:50.0〜55.0
- 国際文化学部:55.0
明治大学で最も偏差値が高い学部は主に政治経済学部で、60〜62.5です。(その他商学部、文学部、経営学部、国際日本学部、情報コミュニケーション学部も、パスナビ上同じ偏差値)最も偏差値が低い学部は理工学部で55.0〜62.5です。(理工学部数学科、学部別日程は55.0。その他は学科、入試方式により異なる)。
青山学院大学で最も偏差値が高い学部は総合文化政策学部で65.0。(学科や入試方式によっては、同じ偏差値の他学部もあり。)最も偏差値が低い学部は理工学部で52.5〜57.5です。
立教大学で最も偏差値が高い学部は異文化コミュニケーション学部で67.5、最も偏差値が低い学部はスポーツウェルネス学部で55.0です。
中央大学で最も偏差値が高い学部は法学部の57.5〜65.0、偏差値が低い学部は理工学部、文学部で52.5〜60.0です。
法政大学で偏差値が高い学部は文学部で55.0〜65.0、経営学部で57.5〜62.5、最も偏差値が低い学部は理工学部で52.5〜57.5です。
全体的に比較すると、MARCHの大多数の学部は西南学院大学よりも偏差値が高いと言えます。ただし、MARCHには多くの学部があり、入試方式や日程も様々です。選ぶ方式や日程によっては西南学院と同等の偏差値で勝負できる可能性もありますので、興味のある学部はまず調べてみても良いでしょう。
国際系学部・留学プログラムの比較
何となく「国際系の分野に興味がある」、「留学がしてみたい」と考えていても、「国際」と名前のつく学部も多く、どこから手をつければ良いか戸惑う人もいると思います。ここからは、国際系の学部・留学プログラムについて、比較していきましょう。
国際系の学部
各大学の国際系の学部について、大まかな特徴を紹介します。
西南学院大学
- 外国語学部外国語学科(偏差値50.0~52.5)
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もともと文学部でしたが、2020年4月に外国語学部へ改組されました。英語・フランス語の2言語を学ぶことができ、異文化理解や外国語でのコミュニケーション能力の向上を目的とする学科です。
- 法学部国際関係法学科(偏差値55.0)
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国際関係法学科のある大学は全国でも数校しかありません。常に変化する国際社会の動態を見つめながら、それを分析・対処するための知見と語学力を身につけることができます。
- 経済学部国際経済学科(偏差値52.5)
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経済学や経済活動に関心があり、かつ国際的に活躍したいという学生が多く在籍しています。世界経済の問題についての知見を深め、問題を解決する力を養うことが可能です。
- 国際文化学部国際文化学科(偏差値55.0)
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言語、地域、文化の側面から、異文化の本質理解につとめる学科です。3年次からは、「1つの地域を深く学ぶ」、「地域を限定せず、文化面での違いを研究する」など、興味に応じて学ぶことができます。また、芸術面に特化した「表象文化コース」があることも特徴的です。
MARCH
- 明治大学:国際日本学部(偏差値60〜62.5)
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グローバル化した現代社会において、主体的に価値ある情報を発信できる人材を育成します。現代日本文化への深い理解が、異文化に対する柔軟な理解力に繋がると考え、日本の伝統文化や、日本の社会システム(企業・産業・社会制度)の教育研究も重要な課題と捉えています。
- 青山学院大:国際政治経済学部(偏差値62.5〜65)
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国際政治学科、国際経済学科、国際コミュニケーション学科の3学科があり、さらに各学科から派生して5つのコース制(政治外交・安全保障・グローバルガバナンス・国際経済政策・国際ビジネス・国際コミュニケーション)を取っているため、他学科・コースの科目を組み合わせた履修が可能です。
- 立教大学:異文化コミュニケーション学部(偏差値67.5)
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世界の多様性に触れるためには、言語の高い運用能力が必要と考えています。そのため、英語+1言語(ドイツ語・フランス語・スペイン語・中国語・朝鮮語・中国語)の習得を掲げると同時に、日本語での論理的思考力と自己表現力も徹底的に鍛える学部です。
- 立教大学:グローバルリベラルアーツプログラム(偏差値情報なし)
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リベラルアーツを英語で学ぶグローバルリーダー育成のための学位コースです。
※募集は国際コース選抜入試のみで行います。
- 中央大学:国際経営学部(偏差値57.5-62.5)
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経営学・経済学の専門知識とともに、高度な英語運用能力を習得するために、設置科目の7割以上は主に英語で行います。情報統計や教養科目なども兼ね備え、グローバルビジネスリーダーの育成を目標としています。
- 中央大学:国際情報学部(偏差値60-62.5)
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国際社会の情報の諸問題を「仕組み」と「法律」の視点から分析・解明すると同時に、解決策を理論的に構築する力を育成します。
- 法政大学:国際文化学部(偏差値60.0-62.5)
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文化をキーワードに多様なテーマについて学びますが、文化は情報と密接に結びついていると考え、ICT(情報コミュニケーション技術)の習得にも力を入れていることが特徴です。ICTを駆使して文化情報を受け取り、さらに発信する能力を育成しています。
- 法政大学:グローバル教養学部(偏差値55.0〜60)
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人文・社会科学・ビジネスなどの、約30分野を英語で学びます。領域横断的な分析と英語でのコミュニケーションを重視している学部です。
留学生の数
英語や第二外国語を習得したり、他国の文化を学びたいと考えている人にとっては、学内での留学生との交流も大切な機会です。各大学に在籍している全体の学部学生数と、留学生の数を比較していきます。
(データは2022年時点のものです。)
- 西南学院大学
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学生数8216人・留学生70人
- 明治大学
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学生数31515人・2022年留学生数のデータなし
(参考;2021年度学部留学生1116人)
- 青山学院大学
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学生数18991人・留学生295人
- 立教大学
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学生数18910人・留学生900人
- 中央大学
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学生数25972人・留学生665人
- 法政大学
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法政大学27141人・留学生553人
MARCHでは、立教大学(・明治大学)に留学生の数が多いことがわかります。入国制限も緩和された今、留学生はさらに増えていくことでしょう。
留学プログラム
意欲ある日本の若者の海外留学は、国をあげて歓迎されています。(文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」より)
どういった留学プログラムが用意されているのかを知ることは、「どんな留学生活を送りたいか」、「留学を通してどんな自分になりたいか」をはっきりさせる絶好の機会です。各大学の留学プログラムについて一部を紹介していきます。
- 西南学院大学
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33カ国102大学と国際交流協定を結び、学生の交換留学を積極的に行っています。期間は中長期プログラム、短期プログラムに分かれており、英語以外にもフランス語やドイツ語、イタリア語などの7言語の学習が可能です。
- 明治大学
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留学を将来希望する生徒を対象に、語学要件として課される英語能力試験のスコアアップ、及び留学中の修学に役立つスキル別講座を特徴ある学習支援と組み合わせて提供する「海外留学プレ・ポスト英語プログラム」があります。(2022年度は全てオンライン開催)
- 青山学院大学
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独自の海外プログラムを持つ、学部主催の留学制度があります。(地球社会共生学部、国際政治経済学部、法学部、理工学部)
- 立教大学
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異文化コミュニケーション学部、経営学部国際経営学科、グローバルリベラルアーツプログラムは、原則全員が海外研修に参加します。海外の企業でのインターンシップや、海外でのサービスラーニング(事前事後学習)も可能です。
- 中央大学
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外部団体である非営利組織のSAF(スタディ・アブロード・ファウンデーション)と協力提携をしており、中央大学が主催する留学プログラムとは別に無料で個別相談することが可能です。
- 法政大学
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大学のHPで、国別の留学先大学についての詳細を調べることができます。各学部独自の留学制度が豊富です。(法学部、国際文化学部、理工学部など多数)
就職率の比較
受験に向けて勉強をする中で、近い将来である「大学合格」、「憧れの大学生活」のイメージは、モチベーションに繋がりやすいですよね。しかし、ぜひその先の「就職」についてもある程度見据えて、大学を選びたいところです。
ここでは、各大学の就職率を比較していきます。
西南学院大学 | 97.0% |
明治大学 | 94〜100%(学部により異なる、総計データなし) |
青山学院大学 | 93.0% |
立教大学 | 97.4% |
中央大学 | 96.3% |
法政大学 | 95.7% |
どの大学も90%以上の就職率であるため、就職率だけで大学を選ぶことはおすすめしません。
大学を選ぶ際には「どこで働きたいか」ということをある程度考えておくべきです。関東を始め、全国を視野に入れた就職を考えている場合は、知名度が高いMARCHの方が有利な可能性もあります。しかし、西南学院大学は九州近辺での知名度が高く、2021年度は巨大企業への就職率は25.7%という結果を出していることも、注目すべきポイントです。
学費の比較
大学進学にあたっての現実的な問題として、学費のチェックは重要です。学費は文系理系・学部学科によっても異なるため、ここでは比較しやすいよう、法学部の入学者納入金を見ていきましょう。
西南学院大学 | 117万円 |
明治大学 | 131万円 |
青山学院大学 | 141万円 |
立教大学 | 132万円 |
中央大学 | 129万円 |
法政大学 | 131万円 |
入学者納入金は、入学金・授業料・施設費の合計です。
入学金とは入学手続き時に大学に納付するお金のことです。授業料は通常は前期と後期に分かれており、2回に分けて納入します。施設費とは、大学施設の拡充や経年劣化による取り替え・建て替え、維持費等に充てられるお金のことです。入学金は初年度のみ支払い、授業料、施設費は2年次、3年次、4年次にも基本的には同額支払うという認識を持っておくと良いでしょう。
表を見ると、西南学院大学よりもMARCHの方が学費が高めであることがわかります。お金に関することでいえば、一人暮らしをするかどうかが大学生活を送るうえで必要な費用に大きく影響します。さらに、同じ一人暮らしでも居住エリアによって家賃や生活費が異なるという点も考慮しましょう。学生寮がある大学であれば比較的費用を抑えられるので、ぜひ確認してみてください。
1年間の一人暮らしの比較
一人暮らしをする場合は、各大学周辺の家賃相場を知っておくと、毎月かかる大よその費用を把握することができます。
エイブル進学応援部からデータを引用しています。
西南学院大学 | 4.3万 |
明治大学(駿河台) | 11万 |
青山学院大学 | 10.4万 |
立教大学 | 8.5万 |
中央大学 | 9.2万 |
法政大学(市ヶ谷) | 11万 |
大学周辺で一人暮らしをする場合、西南学院大学と比較すると、やはり関東地方にあるMARCHの家賃相場の高さがわかりますね。もちろん、家賃を抑えるために大学から少し離れたところに住んだり、どの程度の設備の部屋を求めるかによっても金額が変わってきますので、こちらのデータは一つの判断材料として捉えていただければと思います。
まとめ
難関私立大学というイメージのある西南学院大学とMARCHを比較していきました。
各大学によって少しずつ異なっている点や、様々な取り組みを行っていることがわかったのではないでしょうか。この記事を読んだ全ての方が、納得のいく志望校選択ができるよう願っています。
志望校についても、お気軽にご相談ください!
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